男女平等への矛盾 | ジェンダー固定観念を見直そう

男女平等への矛盾 教育・考え方
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現代社会において、「男女平等」は重要なテーマとして広く議論されています。しかし、日常生活の中では依然として性別に基づく固定観念や役割分担が根強く残り、多くの人が無意識のうちにその影響を受けています。

例えば、家事や育児の負担が女性に偏りがちなこと、男性の感情表現やメンタルヘルスが軽視されがちなこと、さらには恋愛や結婚の場面でも性別による期待が存在しています。本ブログでは、こうした「性別役割」の問題点を整理し、多様な価値観が尊重される社会を目指すために必要な意識変革について考えていきます。

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1. 恋愛・結婚・家族

「男性が告白・プロポーズすべき」という固定観念

恋愛の場面で「告白やプロポーズは男性から」という社会的期待は未だに根強く、女性が積極的に行動すると「珍しい」と評価されることもあります。恋愛における主導権や表現の自由は、性別に関係なく尊重されるべきです。

また、男性が婚約指輪に収入の3倍の金額を使うことが「男のけじめ」とされる風潮や、プロポーズの場所が批判されることもあります。特に経済状況が厳しい今の日本で、このような「慣習」を求めるのは疑問です。女性も「男女平等」を望みながら、プロポーズに関しては「男性がするもの」と考えている人が多いのは、どこか矛盾を感じる点で、都合のいい時だけ「男女平等」を求めているのかなとも思います。

「ゼクシィ結婚トレンド調査2023(全国推計値)」によると、プロポーズの割合としては「夫から妻にあった」と回答したカップルが79.8%であるのに対し、「妻から夫にした」と回答したカップルはわずか1.3%。これを見ると、まだまだ男性主導のプロポーズ文化が根強いことが分かります。

結婚市場での「男性は経済力」の価値観

共働きや女性の社会進出が進んでいる現在でも、婚活や結婚において男性は「高収入」や「安定職」が重視される傾向が根強く、これが性別役割の固定化を生み出しています。しかし、真のパートナーシップとはお互いを尊重し支え合うことであり、年収などの数値や条件だけで判断しない意識を広げることが大切です。

国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査」では、「いずれ結婚するつもり」と答えた18〜34歳の未婚者3,385名(女性1,731名、男性1,654名)を対象に調査が行われ、男女ともに重視する条件のトップ3は「人柄」「家事・育児に対する能力や姿勢」「仕事への理解と協力」で一致しているという良い結果が出ています。しかし4位の条件を見ると、女性の91.6%が男性に「経済力」を求めているのに対し、男性が女性に求める「経済力」は48.2%にとどまっており、多くの女性が男性に経済力を強く期待していることがわかります。

主夫や共働きが認められる時代になってもなお、男性の経済力が求められ続けている現実があります。特に子どもが生まれたら男性の経済力は必須と考える人も多いでしょう。しかし、もし旦那さんが病気やメンタルの問題で働けなくなったり、離婚などの不測の事態が起きた場合を考えると、男性の経済力だけに頼るのは危険かもしれません。当事者にならないとなかなか想像しにくいかもしれませんが、そうしたリスクも踏まえた現実的な考え方が必要だと思います。

2. 仕事・経済・社会制度

女性の社会進出と家庭責任の二重負担

「女性活躍推進」が叫ばれる一方で、現実には家事・育児の負担が女性に偏りがちであり、フルタイムで働く女性が「家事はどうしているのか」と問われるのに対し、男性は同じ状況でもそのような質問を受けにくい傾向があります。この二重負担が、女性の社会進出の足かせとなっている側面は否めません。

また、他国では共働き家庭がベビーシッターを活用し、お迎えなどを頼むケースも多いですが、日本ではまだベビーシッターを雇うことへの理解が十分に得られず、安全面への不安や偏見も根強く残っています。共働きが増える中で、こうした偏見の解消や制度の充実が進むことが期待されます。

さらに、男性の家事育児参加は徐々に増えているものの、時間的制約や職場の長時間労働文化、就労後の飲み会文化、そして「家事は女性の仕事」という社会的な固定観念が男性の積極的な関与を阻んでいる現状があります。こうした背景から、男女双方の意識改革が求められているのです。

この問題に対しては、社会全体の仕組みや文化の変化も必要ですが、夫婦間で結婚前に家事や育児について具体的に話し合うことも非常に大切です。例えば「家事の分担はどう考えているか」「育児にどのように関わりたいか」といったテーマを結婚前に話すことで、結婚後のギャップを減らし、お互いの考えを事前に理解し合うことができます。

こうしてしっかり話し合い、相手の価値観や姿勢を知ることが、共働きでも家庭が円滑に回るための第一歩になるのではないでしょうか。

男性の育休取得への圧力

厚生労働省の調査によると、2023年度の男性育児休業取得率は約30%。過去と比べれば確実に伸びてはいるものの、依然として半数にも満たないのが現実です。男性の育休取得は社会的に推奨されているものの、実際には「本当に取るのか?」「職場に迷惑がかかるのでは?」といった無言の圧力やネガティブな空気が存在しており、取得しづらいと感じている人も少なくありません。さらに、「育休を取るとキャリアに悪影響があるのでは」という不安や、「復帰後に今まで通りのポジションに戻れるのか」といった懸念も根強くあります。

制度があるだけではなく、「育休を取っても大丈夫なんだ」「自分も取っていいんだ」と思えるような雰囲気づくりが重要です。そのためには、育休を実際に取得した男性のリアルな声や体験談をもっと社会全体で共有し、「育児休業を取ることは特別なことではなく、ごく普通の選択肢である」という意識を広げていくことが必要です。 同僚や上司など管理職が「育児に専念してこい」と気持ちよく背中を押してくれる職場が当たり前になれば、もっと多くの男性がためらわず育休を取れるようになるはずです。

3. 教育・子育て

「男の子は泣くな」「女の子はおとなしく」の刷り込み

子どもが育つなかで、「男の子なんだから泣かないの」「女の子なんだからおしとやかに」といった言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。こうした言葉は、一見何気ないようでいて、実は子どもたちの心に「こうあるべきだ」という強い刷り込みを残します。

たとえば、男の子が泣いていると「男のくせに泣くな」と叱られたり、「女の子なんだからもう少し静かに」と注意される。こうした場面は、今もまだ日常の中に根強く残っています。

知らず知らずのうちに、「男らしさ=強くあること」「女らしさ=控えめであること」といったステレオタイプが子どもたちに刻まれていき、それがやがて進路選択、就職、結婚、育児といった人生のさまざまな場面に影響を及ぼすことがあります。

けれど、本来子どもたちは、性別に関係なくそれぞれの個性を持っています。自分の「好き」や「やりたい」に素直でいられること。そんなふうに、自分らしく育っていける環境が何よりも大切なのではないでしょうか。

まずは、大人が無意識に使っている言葉や態度に気を配ること。それが、次の世代の子どもたちが「男だから」「女だから」といった固定観念に縛られずに生きていける第一歩になると思います。

ジェンダーレビルなど、日常に潜む性別の押しつけ

最近では、赤ちゃんの性別が分かったときに発表する「ジェンダーリビールパーティー」なども話題になります。もちろんお祝いの一つの形ではあるのですが、その際に「男の子だからブルーのケーキ」「女の子だからピンクの風船」といった色の使い分けには、気づかないうちに性別に基づく価値観の押しつけが含まれていることもあります。

また、赤ちゃんや子どもへのプレゼント選びでも、「女の子だからお人形」「男の子だから車やロボット」など、大人側が“当たり前”のように性別で遊びを分類してしまっていないでしょうか。本来、子どもの「好き」は性別ではなく、その子自身の個性によって決まるはずです。

女の子が恐竜や怪獣が好きでもいいし、男の子がままごとやお人形遊びが好きでも全く問題ありません。ところが、大人が無意識に「これは女の子っぽい」「それは男の子っぽくない」といった言葉を投げかけることで、子ども自身が「こうしてはいけないのかな?」と自分の“好き”を抑えてしまうようになることもあります。

親や周囲の大人ができるのは、「自分の好きなものを選んでいいんだよ」「何色でも、どんな遊びでも大丈夫だよ」という環境を与えること。そうした言葉の積み重ねが、子どもにとって安心できる土台となり、自分らしく生きるための自己肯定感につながっていきます。

「男だから」「女だから」ではなく、「その子が何を感じているか」「何が好きか」に耳を傾ける。そんな関わり方を、私たち大人が意識していきたいですね。

4. 文化・メディア・価値観

「女子力」「男らしさ」「女性らしさ」という性別固定ワード

「女子力」「男らしさ」など性別を前提にした言葉は、個人の特徴を性別で決めつけ、無意識に役割を押し付けてしまいます。こうした言葉を使うときは、性別ではなく具体的な行動や性格に注目して評価することで、性別にとらわれないコミュニケーションが促せます。普段の何気ない言葉が相手の自己肯定感や行動の幅を狭めることがあるため、自分の発言を見直すきっかけにすることも大切です。多様な生き方や価値観が尊重される社会を目指し、日常の言葉遣いを意識的に変えていくことが求められています。

“レディーファースト”という文化の矛盾

「女性を優先するのはマナー」「レディーファーストは思いやりの表れ」という考えは日本でもよく聞きますが、よく考えると、性別による特別扱いを前提にしており、本当の平等とは言えません。男女平等とは何かを考えるきっかけにもなります。

たとえば、ドアを開けて先に通す、重い荷物を持つ、車道側を歩くといった行為は優しさですが、「女性だから」という理由だけで行われるべきではありません。困っている人や状況に応じて、性別に関係なく自然に助け合える社会の方が健全です。性別を超えた思いやりを大切にすることが、真のジェンダー平等への第一歩です。

5. 健康・メンタルヘルス

男性の自殺率の高さが軽視されがち

日本では男性の自殺率が女性よりも高い傾向が続いていますが、この問題は社会的に軽視されがちです。背景には「男は強くあるべき」「泣くなんて情けない」といった性別役割の期待があり、男性が心の悩みを抱えたときに助けを求めにくい環境が生まれています。

男性のメンタルヘルスの課題も女性と同様に重要であり、誰もが安心して支援を求められる社会づくりが必要です。また、男性が感情を表現しやすく、心の問題を話せる文化を育てることも、精神的な健康を守るために欠かせません。性別に関係なく、一人ひとりの心の声を尊重する社会を目指すことが大切です

6. 性・身体・性被害

男性の性被害が軽視・笑い話にされる

男性の性被害は、社会で軽視されたり、笑い話にされることが少なくありません。「男のくせに」「情けない」といった偏見や、女性からの場合は「ラッキー」、男性からの場合は「ゲイ」などと言われてしまうこともあります。こうした茶化す風潮が、被害者が声を上げにくい環境を作ってしまっています。男性が被害を受けた場合でも、女性と同様に適切な支援が受けられる体制づくりや、男性の性被害に対する社会の理解と認識のアップデートが急務です。被害者の性別に関係なく、誰もが尊重される社会を目指すことが求められています。

家庭内暴力・モラハラ

DVやモラハラというと、女性が被害を受けるイメージが強いですが、実際には男性が被害を受けるケースも少なくありません。DVは殴る・蹴るといった身体的暴力だけでなく、言葉による暴言や人格否定、無視、経済的な制限、行動の監視なども含まれます。

たとえば、

  • 夫が大切にしているコレクションを勝手に処分する

  • お小遣い制なのに、必要な額を全然渡さない

  • 「稼ぎが悪い」と責める

  • 子どもに父親の悪口を言わせる

  • 夫の行動を逐一報告させる

といった行為も立派な暴力です。男女共同参画局のデータによると、女性の約4人に1人、男性の約5人に1人が配偶者から暴力を受けた経験があるとされています。つまり、DVは決して女性だけの問題ではなく、誰もが加害者にも被害者にもなりうる社会の課題なのです。

7. 日常生活・公共空間

ドアを開ける・席を譲るのは男?

「男性が守り、女性は守られる」という意識は、今もなお根強く残っています。また、「男性がドアを開けるべき」「男性は席を譲るべき」といった考え方も、優しさを性別に押し付けるものであり、無意識の偏見につながりかねません。

大切なのは、性別に関係なく、「今、自分に余裕があるから誰かに親切にしよう」という思いやりの気持ちを、社会全体で育てていくことです。

たとえば、お年寄りや妊婦さん、ケガをしている人は見た目で分かることもありますが、見た目には元気そうな若い人でも、実は目に見えない不調を抱えているかもしれません。必要な人が安心して席を使え、互いに自然に助け合えるそんな社会こそが理想なのではないでしょうか。

身だしなみ・化粧の社会的圧力の違い

「女性はノーメイクだと失礼・だらしない」「男性が化粧をするとゲイ・変わっている」といった固定観念は、性別によって見た目に求められる基準が異なることを当然とする意識に基づいています。しかし、こうした考え方こそが、「個人の自由」や「自己表現の幅」を不必要に狭めてしまう要因となっています。

本来、身だしなみや化粧は「こうあるべき」ではなく、「どうありたいか」という一人ひとりの意志によって選ばれるべきです。性別に関係なく、誰もが自分らしい外見を自由に選べる社会こそ、多様性を尊重し、誰にとっても生きやすい成熟した社会と言えるのではないでしょうか。

まとめ

性別に基づく固定観念や役割分担は、個人の自由や自己肯定感を制限し、社会全体の多様性や健全な発展を妨げています。家事・育児の負担の偏りや男性のメンタルヘルス問題、恋愛や結婚における古い慣習、そして日常の言葉遣いに至るまで、さまざまな場面で見られる性別による押しつけは見直すべき課題です。大切なのは、性別ではなく個人の状況や気持ちに寄り添い、互いに尊重し合える社会を作ること。性別にとらわれない思いやりの心を育み、誰もが自分らしく生きられる未来を共に目指していきませんか。

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