【国際結婚】日本語教師が教える外国人パートナーの日本語上達の秘訣

外国人パートナーの日本語上達の秘訣 education
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先日、インスタグラムのストーリーで夫からのメッセージをシェアしたところ、思いがけず大きな反響があったので、この記事にまとめることにしました。

パートナーの日本語をどうやって上達させるか。日本語で会話しているのに、なかなか伸びないと感じている方へ。日本語教師として9年の経験を持つ私が、少しでも役立つアドバイスをお伝えできればと思います。

もちろん、カップルによって使う言語はさまざまです。パートナーの母語だったり、英語だったり、それぞれの関係に合った言語を選ぶのが一番で、この記事は、カップルそれぞれの選択を否定するものではありません。「日本語で話したいけれど、思うように上達しない」と感じている方に、何かヒントになれば幸いです。

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私たちの背景

私: 日本語・英語・フランス語

夫: 日本語・英語・フランス語・スペイン語

私たちが話す共通言語は日本語・英語・フランス語の3か国語ですが、普段使うのは日本語のみです。

英語を話さない理由

私たちはお互いにC2レベルの英語を話しますが、母国語ではないため、ネイティブに比べて表現の幅が限られてしまったり、お互いの英語力が停滞してしまう可能性があるため、2人で英語を話すことはありません。仕事では英語を使うため、英語圏の方との会話を通じて英語力を維持しています。また、英語のニュースを読んだり、調べものをするときに英語を使ったりと、日常的に英語に触れる機会は多くあります。

フランス語を話さない理由

フランス語は、生活の中でのみ使用しています。買い物や各種手続きなど、フランスで暮らす上でフランス語は必須ですが、私たちは日常的にフランス語で会話したいとは思っていないため、家では話しません。ただし、リアリティ番組やクイズ番組をフランス語で見ることはよくあります。そのテレビの内容に対する感想は日本語です。

なぜ日本語なの?

日本で出会ったことも影響しているかもしれませんが、私たちは最初からずっと日本語で会話しています。私が日本語教師であり、夫も日本語が好きだからという理由もありますが、夫の高い日本語レベルを維持してほしいという思いもあり、10年間ずっと日本語で話し続けています。

パートナーの日本語力

まずは現状を把握することが大切です。パートナーさんの日本語力は現在どのくらいでしょうか?

日常会話レベルであれば、JLPTのN5、N4、N3の文法をしっかり使いこなせれば、十分に会話ができるはずです。もし初歩的な文法ミスが多い場合は、まず基礎文法を見直すことをおすすめします。会話に必要な文法だけであれば、日本語の文法はとてもシンプルで分かりやすいです。パートナーさんが「文法が難しい」と感じている場合、N5・N4レベルの文法をしっかり学ぶ機会が少なかった可能性があります。

私は現在、ZoomやSkypeを使って個人で日本語を教えていますが、学生からは「文法が論理的で分かりやすい」とよく言われます。会話に必要な日本語の文法は、ポイントを押さえれば難しくありません。

もしN5・N4・N3の復習をしたい方がいれば、お気軽にご連絡ください✉️

また、文法のミスは少ないものの、語彙力や自然な表現が足りないと感じる場合、次のような原因が考えられます。

  • カップル間の会話が「オリジナル言語」になっている
  • ルー大柴風の会話になっている

自然な日本語の身につけ方

パートナーが自然な日本語を身につけるためには、日本人側が日本人に話すような日本語を使うことが重要です。「難しいかな?」と感じて単語を英語にしたり、簡単な日本語に言い換えたりすると、いつまでも新しい単語を覚えられません。

例えば、次のような話し方をしていませんか?

❌ 「明日embassy行って、Visaのprocedureするね」

✅ 「明日大使館行って、ビザの手続きしてくるね」

こういった会話を続けていると、なんとなくの日本語のニュアンスや文法構造は理解できるかもしれませんが、単語を覚える力が育ちません。

もしパートナーが「手続き」の意味が分からない場合は、

🗣 「手続きはprocedureのことだよ」とフォローするのはもちろんいいと思います。

こうすることで、日本語のまま新しい単語を覚える習慣が身につきます。

日本人側が「歩く単語帳」になるように心がけてみてください。

日本語教師が教えるポイント

相手の日本語をバカにしない

学習中のパートナーの日本語をバカにせず、尊重することが非常に大切です。特に、SNSなどで、学習中のパートナーの日本語をからかう内容を見かけることが増えていますが、これは避けるべきです。「カタコトでかわいい」「おかしな日本語」といった表現は、一見可愛らしい言葉かもしれませんが、学習者にとっては自信を失う原因となり、学習意欲を削いでしまうことがあります。

もちろん、個人差はありますが、多くの人が自分の間違いや発音を笑われることに嫌悪感を持つ場合が多いです。せっかく努力して話した日本語をバカにされると、次回から積極的に挑戦しようという気持ちが薄れてしまうことが考えられます。その結果、学習が続かなくなり、モチベーションが下がる恐れがあるため、パートナーの日本語を尊重し、温かいサポートの姿勢を持つことが重要です。

理解する努力をする

発音や文法が間違っていても、日本語話者側が理解しようとする姿勢を持つことが大切です。間違いに気を取られるのではなく、相手が伝えようとしている内容に耳を傾けましょう。理解できなかったときに、「え?」「何?」とすぐに聞き返したり、困った表情を見せたりすると、相手は自身をなくしてしまい、「やっぱり話すのが怖い」と感じることがあります。理解しようと努力している顔も、逆にプレッシャーを与えてしまうことがあるため、自然な表情を心がけましょう。どうしても分からないときは、「こういうこと?」と優しく言い換えたり、ジェスチャーを交えながら確認したりすることで、相手が安心して話せる環境を作ることができます。

最後まで聞く

途中で訂正せず、最後まで話を聞くことで、相手が考えながら話す機会を増やせます。話の途中で訂正されると、学習者は自信をなくしやすく、「間違えてはいけない」というプレッシャーから話すこと自体を避けるようになってしまうこともあります。もちろん、大きな間違いがあれば指摘することも必要ですが、それは相手が話し終わった後にしましょう。話し終えるまで待つことで、学習者自身が「この表現で合っているのかな?」と考えながら話す練習ができ、自分で気づく力も身につきます。また、最後まで話を聞いてもらえることで「伝わった」という達成感を感じ、学習への意欲も高まります。

さらっと修正する

会話の流れを止めずに学習を続けられる方法として、パートナーが話し終わった後に自然に正しい日本語で言い直す方法が非常に効果的です。会話の途中でいちいち全てを訂正してしまうと、学習者にとってはストレスとなり、会話自体が中断されてしまうことがあります。そのため、パートナーが話し終わった後にさらっと訂正することで、学習者は自分のペースで学び続けることができ、ストレスなく上達できるのです。

初級レベルのミスの例

  • パートナー「今日はさむいだった。」
    ➡ 日本人「さむかった?」

  • パートナー「おいしいじゃない。」
    ➡ 日本人「おいしくない?」

  • パートナー:「レストランに食べた。」
    ➡ 日本人:「いいね、レストランで?」

このように、会話中に気づいた点をすぐに指摘するのではなく、パートナーが言い終わった後に自然に訂正を加えることで、会話の流れを保ちながら修正ができます。特に中級・上級レベルの学習者には、この方法で学習することで、自分で気づく力を養うことができます。

難しい日本語は?

日本語の文法自体はシンプルで論理的ですが、上級者でも難しいのが「カタカナ」と「擬音語」です。

カタカナの難しさ

話すときは多少間違えてもなんとなく通じることが多いですが、書くときは特に難しいかと思います。ベビーカーなど、和製英語も多いですよね。英語を話す人にとって、これまでの概念を捨てて新しい読み方を覚えるのは、時には日本語の単語を覚えるよりも難しい作業です。また、どれはカタカナを使い、どれは日本語の言葉を使うのかなどなど、難しい点です。特に上級の学生の中には、カタカナよりも日本語の単語のほうが簡単だと言っている人もよくいます。

例えば…

  •  「ー(長音)」を入れる場所
    Coffee → コーヒー
    Copy → コピー
  • 「ッ(促音)」の使い方
    Apple → アップル
  • 「ベ」なのか「ヴェ」なのか
    Vegetarian → ベジタリアン(× ヴェジタリアン)
    Vegan → ヴィーガン
  • 英語との発音が違う
    Virus → ウイルス
    Cake → ケーキ

このように規則性があまりないため、習得が難しいのだと思います。

擬音語の難しさ

一日本人が何気なく使う擬音語、実は難易度が高いんです。これを見るだけでどんな様子か理解できるのが日本人です。

人を表す表現

  • ゲラゲラ
  • クスクス
  • ニヤニヤ
  • ワイワイ
  • ワクワク
  • スタスタ
  • ドタバタ

体の痛み

  • 頭がズキズキ(ガンガン・ボーッと)する
  • チクチクする痛み
  • 目がチカチカ(ショボショボ)する
  • お腹がゴロゴロ(キリキリ・ムカムカ・キュルキュル)する
  • ヒリヒリ
  • ピリピリ
  • ゾクゾク
  • ガクガク
  • フラフラ

自然の音

  • ザーザー
  • ゴロゴロ
  • ピカッ
  • バリバリ
  • ボトボト
  • ピューピュー

ものの音・衝撃音

  • ドカン
  • ドスン
  • ボトッ
  • バタン
  • ガシャン
  • パリン
  • ポチャン
  • ドン
  • ゴツン
  • バリバリ
  • バキッ
  • バリッ
  • バタン
  • ガチャ
  • パカッ

よく使われる一般的な擬音語を見ても、難しいと思いませんか?これを見たり聞いたりするだけで理解できるのが日本人。すごすぎます。上級者でもイメージしにくく、覚えるのがなかなか難しいと言っている学生がたくさんいます。日頃から少しずつ使っていると、だんだんと覚えられるようになります。

まとめ

  • 英語や簡単な表現に逃げず、積極的に日本語らしい表現を使う。
  • 日本人側が「歩く単語帳」として語彙力を意識的に増やすことが効果的。
  • カタカナ語や擬音語は特に難しいので、意識的に学習。
  • 相手の日本語を最後まで聞き、尊重すること(バカにするのはNG)。
  • 自然な会話の流れで訂正する方法が効果的。

日本語を話す環境があるのに「なかなか伸びない」と感じている方 は、ぜひ試してみてください!

📩 個別レッスンやアドバイスが必要な方は、お気軽にご連絡ください!

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