脱退一時金とは、外国人が日本を出国する際に、これまで日本で支払った年金保険料の一部を請求できる制度です。
一見するとシンプルな手続きに見えますが、実際には見落としやすいポイントや注意点もあります。
特に、日本に住所がなくなってから2年以内に請求する必要があるため、出国前後で忘れずに準備を進めることが重要です。
※制度の詳細や最新情報については、日本年金機構の公式サイトも必ず確認してください。
脱退一時金の受け取り条件
脱退一時金は、以下の条件をすべて満たす場合にのみ請求できます。
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日本国籍ではないこと
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国民年金または厚生年金の保険料納付期間が6か月以上あること
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日本に住所がないこと
※出国前に転出届の提出が必要 -
老齢年金などの年金を受ける権利を有したことがないこと
なお、脱退一時金は支給時に所得税20%が源泉徴収されます。
ただし、確定申告を行うことで、この税金は還付を受けることが可能です。
必要書類
脱退一時金を請求する際に必要な主な書類は以下の通りです。
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脱退一時金請求書(国民年金/厚生年金保険)
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パスポートのコピー
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日本国内に住所を有しなくなったことが確認できる書類
※出国前に転出届を提出している場合は不要 -
銀行口座情報を確認できる書類
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銀行名
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支店名
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支店所在地
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口座番号
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請求者本人名義であること
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基礎年金番号が確認できる書類(年金手帳のコピーなど)
海外のオンライン銀行口座を利用する場合でも、IBANや口座名義を証明できる書類があれば対応可能なケースがあります。
書類の提出方法(郵送)
出国前に請求書を準備することは可能ですが、提出は転出日以降になります。
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出国日にポストへ投函する
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出国後に日本にいる家族や知人に送付してもらう
などの方法が考えられます。提出後、振り込みまではおよそ3か月前後かかるのが一般的です。
脱退一時金の計算方法(厚生年金)
厚生年金の場合、支給額は以下の計算式で算出されます。
脱退一時金支給額の計算式
支給率に用いる係数は、日本年金機構が公表している表から確認できます。
計算例
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月給:30万円
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賞与:50万円 × 年2回
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年収:460万円
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勤務期間:2年間(24か月)
平均標準報酬額
脱退一時金
※標準報酬月額は、居住していた都道府県の表を使用します。
所得税還付請求の流れ
① 納税管理人の届出書を提出
出国前に、税務署へ「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出します。
日本に住む親族(国際結婚の場合)などが納税管理人になるケースが一般的です。
② 脱退一時金の受け取り
脱退一時金送金通知書が届き、指定口座へ送金されます。
この通知書は確定申告に必要なため、必ず保管します。
※通知書は請求者本人の海外住所に送付されるため、日本の納税管理人へ転送します。
③ 確定申告
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確定申告書に納税管理人と還付先口座を記載
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出国前に住んでいた地域を管轄する税務署へ郵送
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脱退一時金送金通知書の原本を添付
④ 還付金の受け取り
国税還付金振込通知書が納税管理人の住所に届き、
その後、納税管理人から申請者本人へ送金されます。
⑤ 納税管理人の解任
還付完了後、税務署へ「納税管理人の解任届出書」を提出し、手続きを終了します。
まとめ
脱退一時金は、日本で働いた外国人にとって重要な制度ですが、
期限・税金・納税管理人など、見落としやすいポイントが多くあります。
出国前から準備を進めておくことで、スムーズに受け取りや還付手続きを行うことができます。
該当する方は、忘れないうちに手続きを進めることをおすすめします。

